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英語偏差値30からカナダ東海岸St.Thomas Universityに留学。卒業後2009年4月、某財閥系総合商社へ入社。
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前回の続きです。
今回は田母神さんは息を潜め、もっぱら政治科学と歴史学の話になります。


さて、田母神氏の歴史観に関する主張を読んでみて、歴史観を変える・提唱することの難しさをつくづく感じた先日。歴史的事象なんて星の数ほどあって、それらを差別的に集めてきて自分の擁護する歴史観を説明するための証拠とすればいい。しかもその記録されてきた歴史自体も、編纂者の意向が反映されていて歴史の「真実」を伝えている可能性は限りなく低い。


だから俺の歴史学の教授は、

''We never know about history, but history is all about understanding it.''

「完全に歴史を知ることは出来ないけれど、それを理解する事こそが歴史学だ」

と言ったんだね。歴史について確固たる資料や事実をもって「知る」ことは出来ないけれど(確固たる歴史観は無い)、その時代背景や価値観などを調べることによって、「理解」を高めることはできる、と。


だけれどこの考え方、俺のお世話になった政治科学部の教授達のアプローチと真っ向から対立する。



Political Science、政治科学、ポリサイ。

俺の大学だけではなく、欧米では至極ポピュラーなこの学問の名前、考えてみるとどこかおかしい。なぜ、「政治学(Politics)」ではなく、「政治科学(Political Science)」なのか。ここに政治学者達の自負心と信条、そして歴史学者達との軋轢の根源がある。

まず言ってしまおう。「(政治)学」、と「(政治)科学」、の違いは、前者は、事実を学ぶことであって、後者は、物事(の因果関係)を仮定し、検証し、一般化(Theorize, Generalize)し、更には物事の予測を可能にする、という点。

政治の仕組みや働きなどを勉強して知識にするのは政治学、そして、政治科学は、その山ほどある政治的事象を検証、一般化し、その上に政治理論を作り上げる。

例えば、「AとBという政治的現象が観測されたら、Cが起こる」という感じ。具体的な例を挙げると、経済混乱+沢山の労働階級+民族のバラエティ+民主主義(!!!)=ナチズムの台等の懸念、のようなもの。

更に政治科学の、科学的・数字的側面を強調していくと、デベルジェ(Duverger)のMedian Voter Theoryやライカー&オードシュック(Riker&Ordeshook)の投票行動方程式なんてのがある。


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※参考までに

投票行動方程式
R= P x B - C + D

R=選挙に行く可能性
P=1人の投票が結果を変える可能性(要は接戦かどうかって事)
B=投票する政党、又は立候補者を変える事による結果の変化
(それぞれの政党、立候補者の間でどれだけの違いがあるか)
C=投票に行く事によるコスト(時間、仕事、いろいろ)
D=選挙に行く事で得られる満足感。

以前にも紹介した覚えがありますが。
面白いでしょ?あ、そうでもない?…w
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水素に火を点けたら水になりますよ(H2+O=H2O)という確固たる因果関係を見つけだす化学のように、政治科学も、事象と事象の確固たる因果関係を見つけ出し、理論化しようとする。



ちょっと待った。ここでウチの歴史学者が口を出す。「過去に起こった事象なんてそれぞれの時代背景が余りにも特有過ぎて、現代に当てはめることなんて不可能だ。」「政治科学者こそ、自分の論理に都合のいい事象だけを掻き集めてきて論証しているだけじゃないか。」と言う。

この歴史学者は、歴史的事象の特有性について細心の注意を払い、そこから因果関係を導き出すなんて不可能だと言う。



しかしここで政治科学者も黙ってはいない。彼らには、過去の失敗や政治システムの研究によって、国や世界の危機を未然に防いだり、より良い政治システム作りに貢献しようという自負がある。悪い結果を引き起こす事象を特定できれば失敗を防げる。そしていい結果をもたらす事象を発見できれば将来より良いシステムが作れる。

この自負を捨ててしまえば、プラトンやアリストテレスの時代から続いてきた政治科学者の役目が終わってしまうので、それは絶対に認めない。



こんな中で俺がいつも思っていたのは、結局歴史学者も政治化学者も似たような問題を抱えてるんじゃないか、ってこと。歴史学と政治科学は本来「哲学」という学問の中に共存していたはずだし、それを無理に引き離そうとすれば、お互いが独立して存在するために様々なアプローチを考え出すだろう。

歴史学者だって歴史における普遍的法則を見つけ出そうとするだろうし(ダーウィンの進化論とかね)、政治科学者が政治的事象をより深く理解しようとするアプローチだってある(もっとも、そうすればただのの政治学になってしまうのだけど)。

歴史学者が歴史を「理解」することに重きを置けば、政治科学者は政治の普遍的法則を「知ろう」とする。結局どちらも同じようなジレンマを抱えて存在しているんじゃないか。

ただ、歴史学者が歴史科学者、と名乗らないところを見ると、歴史学者は科学的アプローチを放棄したかのようにも見える。ひょっとしてそれは、「歴史」そのものを尊重する姿勢の現れなのかもしれない。



一方で政治科学者にもおかしなところがある。Political Scientistであるために、政治的法則を発見したいがために、この現実世界を捻じ曲げることが多々ある。膨大な社会現象全てを踏まえて理論を立てるのは難しいので、経済学のように次々に前提を作って、その上に理論を立てる(例えば、「国民はそれぞれ個人の利益を最大化する為に行動する、と仮定する」「国民は、自分で仕組みを作り出すのではなく、作り出された仕組みに影響される、と仮定する」など)。

理論作りに躍起になっている政治科学者は、彼ら本来の目的、「よりよい社会、政治システムを作る」という目標から遠ざかっているようにも思える。「どんな社会が良い社会か」「どんな政治システムが良いものか」という根本的質問を哲学に丸投げして、政治科学本来の存在意義を見失っているのでは?



歴史学と政治科学、お互いの存在を維持するための軋轢を維持するのでは無く、その中でお互いが見落としている点を補完しあってこそ、よい結果が生まれるのではないのかな(大きくは無いが、この動きも無いことはない)。

もっとも、もしもそんな事が本格的に起こってしまったら、社会科学上の大変革になってしまうんだけど。



キリが無い。もう止めようw
田母神さんの本から思いがけず、懐かしい大学生活を思い出した。



Picture: Raphael
 
 
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こらー
こっちのブログも怠らずに書きなさいー。絵表示できてないで!
私はカスタマイズできるからMixiブログより普通のが好きだけどなぁ。
ゆき EDIT
at : 2009/03/07(Sat) 16:34:49
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HN:
Imayu
年齢:
32
性別:
男性
誕生日:
1985/05/13
趣味:
ドラム・筋トレ・読書・旅行・絵描き・マグカップ収集 etc...
自己紹介:
英語偏差値30の高校時代を経て、カナダ東海岸、St.Thomas Universityに留学。政治科学と人権学を専攻。専門はアフリカ人権問題とドイツ政党政治。2009年4月付けで、某財閥系総合商社へ入社。

先進国に生を受けたからには世界を相手に何か出来る事が、すべき事があるんじゃないか。「『日本人として』、世界という舞台で闘い、途上国の人々の未来を創る」という夢に向かって邁進中。ビジネスを通した途上国貢献の道を模索中。

''Watch your thoughts; they become words.
Watch your words: they become actions.
Watch your actions: they become habits.
Watch your habits; they become character.

Watch your character; for it becomes your destiny.''

※メール→imayu_canada[at]yahoo.co.jp(ブログ用)
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